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仕事ができる経理とは? 2012/1/25

私は仕事柄、企業の経営者から、「“仕事ができる経理”の人材、誰かいませんか?」と、よく聞かれます。
「経理の仕事ができる人」はたくさんいますが、「仕事ができる経理」となると限られてきます。

では、「仕事ができる経理」とは、いったいどのような人のことを指しているのでしょうか?
この「仕事ができる」というあいまいな表現が要求している仕事のレベルは、使う人によっても違いますし、仕事の内容や対象者によっても異なります。
企業の経営者や経理管理職が期待する「仕事ができる経理」の定義も、時代によって、ビジネス環境によって、変化してきています。

最近では、経理に求められるレベルがかなり高度になっているのを感じます。
同じ仕事をしていても、以前は「仕事ができる経理」人材であったのに、今はそうではなくなってしまったのです。

今回は、企業が必要としている経理スキルの時代の変化を見ながら、「仕事ができる経理」になるために何が必要なのかについて考えます。

“仕事ができる経理”に要求されるスキルレベルの変化

経理における仕事のレベルを、ざっくりと初級、中級、上級の3つに分類すると、次のようになります。

①初級レベル:現金出納や支払・入金管理、会計処理などの経理事務作業
初級レベルで必要となる専門知識は簿記で、あとは3?5年間程度の実務経験を積めば、一通りの経理事務はこなせるようになります。
初級レベルの仕事時間の割合は、経理全体の4分の3以上を占めており、経理部門の約75%の人が初級レベルにとどまっていることがわかります。

②中級レベル:業績管理、短期の資金繰り、財務分析などの計数管理業務
目標が計画どおりに遂行されるために計数管理を行なうのが、中級レベルです。
必要となる専門知識は、管理会計やキャッシュフロー、財務分析などで、中間管理職として5?10年間の実務経験を通してマスターするのが一般的です。
中級レベルの仕事時間の割合は、経理全体の約2割程度です。

③上級レベル: 予算編成や資金計画などの経営計画業務
上級レベルにおいては、今後の財務戦略を検討して中長期の資金計画を策定することが仕事になり、経済や経営の知識が必要となります。
経理の机上の仕事以外に、経営全般に関する理解が必要になるため、少なくとも10年以上の実務年数がかかるのが通常です。
上級レベルの仕事をしているのは、全体の5%未満です。

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上図のように1990年代頃までは、「仕事ができる経理」とは、初級レベルの上から中級レベルの下ぐらいのゾーンに該当する人材を指していました。
具体的には、「経理事務がひと通りこなせて、決算が組めて、月次の業績管理や短期の資金繰りができる人」が、求められていたのです。

それが2000年代以降になると、「仕事ができる経理」に対して要求されるレベルは上がり、中級レベルの中から上級レベルの仕事までも含むようになってきています。
「現状の財務状態と会社の事業計画を把握して、将来の財務計画を経営者と一緒に考えられる人」を必要としているのです。

実際には、企業側が欲しい上級レベルの「仕事ができる経理」人材は、全体の5%もいません。
それに対して、初級レベルを中心とした少し前の時代の「作業ができる経理」人材が、圧倒的に多くを占めています。
必要とする「仕事ができる経理」人材が不足し、あまり必要とされなくなった「作業ができる経理」人材が過剰になっており、明らかな経理人材の需給ギャップが生じています。

見えない「ルーティン(作業)の壁」から出られない

経理の人材が、初級レベルに片寄りすぎて、中級レベルや上級レベルへシフトしていない原因を考えてみると、次のようなことがわかります。

一般的な業務の場合、初級レベルの仕事をマスターするのには、1?2年、長くても3年間です。
しかし経理の場合、企業の規模にもよりますが、実務年数5年以上の人も、この初級レベルの仕事をしていて、決算が組めるようになるまで5年以上かかることも珍しくありません。
なぜ、初級レベルの仕事をマスターするのに、こんなに長い時間がかかるのでしょうか?

長くかかる原因は3つあります。
原因①:時間がかかるやり方で教えている
原因②:効率的なやり方を取り入れていない
原因③:仕事の目的や本質を理解していない

仕事を教える先輩や上司は、自分がやってきたやり方で指導するので、下積み作業を長期間やらされた経験のある先輩が、自分の部下にエリート教育をするはずがありません。
ITを活用して初級レベルの仕事の効率化に積極的に取り組んでいない会社の経理では、非効率的なやり方で作業を続け、業務時間の多くを費やしています。
作業手順だけを指示され、仕事の目的や本質を教えられないと、考えないで作業を繰り返すだけになり、自分から工夫して効率をよくしたり、改善することをしなくなります。

怖いのは、初級レベルで経理人生を終わってしまう人が多いことです。
なぜ初級レベルで止まってしまうのかというと、3年以上事務作業を繰り返していると、作業することが習慣になり、作業が身体に染みついてしまうからです。
作業は慣れてくると経験だけで処理ができる、“頭を使わない楽な仕事”になり、考えずに作業を繰り返しているうちに、新しい仕事に挑戦する意欲を失わせます。
しだいにその作業が、「自分の仕事」だと疑わなくなり、上のレベルの仕事は、「他人の仕事」になってしまいます。
これを私は、見えない「ルーティン(作業)の壁」を超えられない状態と呼んでいます。

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さらに危険なのは、せっかく時間をかけて習得した経理事務のスキルの価値が、今となっては意味のないものになってしまった、という現実です。
以前から何度も説明しているとおり、初級レベルの経理事務は、「正確に、早く、低コストで」処理することが経営上求められますから、現在では人間が作業するよりもコンピュータ化すべき仕事になっています。
経理事務がコンピュータ化された段階で、初級レベルの仕事はなくなります。

企業が過剰人員をかかえる余裕がなくなった現在、“頭を使わない楽な作業”で高い給料をもらえる“おいしい仕事”は、もう存在自体が許されません。
経理人材として、初級レベルにとどまることはできなくなったのです。


※ごめんなさい!このサイトでご覧いただけるのはここまでです。以降の情報は『経理4970.tv』サポートサイトでご覧いただけます。 http://www.keiri4970.tv 役に立つ経理合理化情報が満載です。ぜひ『経理4970.tv』で経理合理化を学んでください! 
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経理は企業経営の「守り」の要 2011.12.26

新聞や経済誌などの2012年以降の経済見通しによると、世界同時不況、円高、日本経済収縮など、明るい要因が少なく、企業にとっては厳しい経済情勢が当分続きそうです。
景気が低迷し「攻め」の経営が難しい状況においては、企業は「守り」を固めておくことが一段と重要になってきます。

「守り」を固めると言えば、プロ野球中日ドラゴンズの前監督落合博満氏は、著書『采配』(ダイヤモンド社 http://amzn.to/u1Usmc )で次のように語っています。

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「私はドラゴンズの監督に就任してから、ずっと投手力を中心とした守りの安定感で勝利を目指す戦いを続けてきた。なぜなら、投手力はある程度の計算ができるのだが、打撃力は『水もの』と言われているように、10点を奪った翌日に1点も取れないことが珍しくないからだ。」

そして、「負けない努力が勝ちにつながる」ということで、「攻め」よりも「守り」を強化した結果、 チームは常に上位(監督通算勝率0.562、8年間すべてAクラス)を維持し続けました。
見る側としては、あまり面白くない試合展開ですが、「守り」を強化することが、「勝つための選択」ということです。

ビジネスにおいても同様に、売上を伸ばす「攻め」を考える前に、事業を継続するための「守り」を見直しておくことが重要です。
今回は、企業経営の「守り」について、経理の視点から考えます。

経費率をチェックして「守り」を強化

不況が続き、売上規模の成長拡大が期待できない状況においては、利益を確保する上で経費のコントロールが「守り」の優先課題です。
売上目標が達成できずに利益が減り、赤字になってからあわてて経費削減を検討していたのでは遅すぎます。

なぜかというと、赤字になってからもしばらくの間は、経費は予算どおりに消化されていくからです。
金額が大きい人件費や家賃などの固定費はすぐに削減できませんから、業績が低迷し始めてから経費削減に着手しても、利益を回復するにはだいたい半年間ぐらいかかってしまうのです。

そうならないために、経理としては、経費率の推移を毎月チェックしておきます。
売上高や粗利益に対する各経費科目の比率(経費率)を、月単位で過去3年分の実績データと比べてグラフ化して見ると、収益に対する経費の関係がわかります。
利益が確保できていたときの経費率をチェックし、今後の売上状況が悪化することを想定して、どの経費をどの程度削減しておくべきかを早めに検討しておきましょう。

現時点での経費コントロールが、半年後の利益を決めることにつながるのですから、経理の役割はとても重要です。

最近は減ってきましたが、あまり考えずに前年同様の経費予算を申請している管理職も少なくありません。
経営の「守り」を固める上で、まずは社員のコスト意識を変えていきましょう。

キャッシュフローをチェックして資金を守る

経費削減の次は、資金の「守り」を固めます。
利益を増やしてキャッシュフローを増大させることが簡単ではない現状においては、運転資金を回転させて資金回収をよくすることが不可欠になっていきます。

そこで経理は、売掛金と在庫の回転率がどうなっているかを調査します。
景気が低迷しているときには、売上高が増えていないにもかかわらず、売掛金や在庫が増えて資金効率に悪影響を与えていることがよくあるからです。

経理は、毎月末の売上債権(売掛金と受取手形)の残高を1日あたりの売上高で割って売上債権回転日数を計算し、回収に遅れが生じていないかを検証します。
運転資金が苦しくなる企業の多くは、甘い「守り」(売掛金回収管理の不徹底)が原因になっていることがよくあります。

売上債権回転日数が長くなっているようであれば、営業部門と協力して得意先別の回収状況を確認し、すぐに対処します。
景気が悪くなると、資金繰りが悪化する得意先が増える可能性が高まりますから、この時期に与信限度額の見直しをすることも、「守り」を固める上でとても重要です。

在庫についても同様に、毎月末の棚卸資産回転日数(棚卸資産÷1日あたり売上高)を計算し、回転日数の推移をチェックします。
営業側では売上が伸びないと、どうしても新製品の販売に力を入れようとして、在庫が増える傾向にあるからです。

経理も実地棚卸しに必ず立ち会い、製品別の棚卸し高のデータと現物を照合することにより、在庫が増加している原因を明確にしておきます。
在庫を削減して営業キャッシュフローを改善している会社では、経理から出された在庫データをもとに、在庫管理の担当者が「決算までに在庫の残高をどこまで改善するのか」を、数値目標を設定して責任をもたせています。

売掛金と在庫の管理が、資金の「守り」を固める鍵になることは言うまでもありません。

財務体質を改善して「守り」の安定感を高める

企業経営の「守り」を固めるための仕上げは、バランスシートの構造と中身の見直しです。
経理は、貸借対照表を分析し、会社の「守り」の堅実度を検証します。
流動比率(流動資産÷流動負債)で短期的な支払能力を確認し、安全性が高いと言われる200%以上にするためにどうすればいいかを検討します。

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ミスとエラー対応が経理の効率を悪くする 2011.11.30

何の仕事でも、「ミスなく」、「効率よく」やることが求められます。
しかし経理では、「ミスなく」が、「効率よく」より、優先されてしまいがちです。
経理の仕事は、会社の大切なお金や社外に出る決算数値を扱うため、ミスが許されないからです。
お金や数字を間違えて、会社が損をしたり、信用を失わないように、経理では「ミス」を恐れて慎重に対応してきた結果です。

人間がする仕事は、必ずどこかでミスが発生します。
転記ミスや入力ミス、計算ミスなどが、経理では日常的に生じているのも事実です。
ミスに気がつかないで、間違ったまま処理を続けることにより結果がエラーになることもあります。
このミスやエラーを防ぐために、経理では何人もの人が何回も時間をかけてチェックし、間違い探しをています。
伝票や書類に押されているたくさんのハンコが、それを証明しています。
数百円の経費伝票に、部長や社長までハンコを押しているのを見ます。

経理事務においてミスやエラーが発生する確率は、だいたい全体の1%程度です。
ミスのない99%の正しい伝票や書類を何回もチェックするという行為は、貴重な業務時間の多くを浪費することになります。
したがって、ムダなチェック作業が要らない仕組み、つまり、ミスやエラーが起きない仕組みにすることが、経理の仕事を「効率よく」することにつながるのです。

今回の経理合理化情報は、経理のミスやエラーの対応を見直して、ミスの発生を回避しながら経理業務を効率化する方法を考えていきます。

経理ミスはどこで発生しているのか

ミスが発生すると、エラーの修正と再チェックに余計な時間がかかり、業務効率が悪くなります。
実際に、どのような経理のミスやエラーが起きているのかを見てみると、だいたい次の3つに分類できます。

① うっかりミス
いわゆる不注意によるミス。
「振込金額の桁を誤って入力した」、「請求書を見間違えて消費税抜きの金額で仕入を計上してしまった」などです。

② 確認ミス
作業完了後の確認を怠ったり、形式しか見ないで内容を確認しないことによるミス。
「同じ取引を二重で計上しているのを確認不備で気がつかない」、「作業担当者を信用してチェックせずに承認してしまう」などのケースです。

③ カンチガイ
作業担当者の思い込みや、指示が正しく伝わっていないことによるミス。
「会議費で処理すべきところを交際費だと思って処理してしまう」、「月単位のデータがみたいのに、年間累計データで資料を作成してしまう」などがよくあります。

どれも、人間なら誰でもやってしまうヒューマン・エラーです。
ヒューマン・エラーの原因は、知識や経験の不足、仕事に対する慣れや過信、作業負荷による集中力の低下、職場環境や精神的ストレス、などさまざまです。

このミスやエラーに対して、いままで経理がどのような対応をしてきたかというと、主に次のようなチェック体制の強化です。
・複数人によるチェックの多重化
・内部統制と外部監査の実施
・「ミスをするのは気持ちがたるんでいるからだ!」と精神論で注意と説教を繰り返す
・チェックリストの作成とエラー報告書の記録

そして、同じ作業を繰り返し担当させることにより、ミスをしない職人のようなベテラン経理事務社員を養成してきたのです。

経理ミスの改善策

ミスをしないように訓練するには時間がかかりますし、ヒューマン・エラーを人間の力で防ぐには、どうしても限界があります。
それよりも、作業方法を工夫するほうが、時間がかからずに、ミスやエラーを減らすことができることがあります。

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『「事務ミス」をナメるな!』(中田亨著 光文社新書 http://amzn.to/soANx9 )によると、ミスの解決は次の6つの面から考え直すことをすすめています。
①しなくて済む方法を考える
②やり方を変える
③道具や装置を改良する
④やり直しが効くようにする
⑤致命傷にならないための備えを講じる
⑥問題を逆手にとる

特に、経理事務のミスを解決するには、上記①〜③がとても有効です。
①「しなくて済む方法を考える」は、これまで経理の合理化でも取り組んできた考え方と同じです。
ミスが生じやすい仕事を、廃止してしまうやり方です。
「現金残高が出納帳と合わない」 → 「経費精算用の小口現金を廃止する」
「伝票の転記ミスが多い」 → 「手書き伝票を廃止する」
いままでの常識を捨てて、発想の転換が必要です。

②「やり方を変える」は、作業手順の見直しです。
ミスが発生している作業の手順や仕組みを改善していきます。
「勘定科目の入力ミスが多い」 → 「科目コードを入力せず仕訳パターンで入力する」
「帳簿と預金残高が合わない」 → 「預金データを仕訳データに変換して取り込む」
作業手順の簡略化や標準化が進むと、ミスの発生率が減少します。

③「道具や装置を改良する」は、ハードやソフトで解決する手法です。
最近では、システムを導入したほうが時間もお金もかからないようになりました。
「経費精算での科目ミスや集計ミスが多い」 → 「経費精算システムで自動化する」
「支払の振込先や金額のミスが多い」 → 「支払管理システムから銀行システムへ連動」
定例的な事務処理は、コンピュータ化することにより、ミスが無くなり、効率も圧倒的によくなります。

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経理事務が辞めても困らない仕組み 2011.10.28

早いもので今年も残すところあと2ヶ月になりましたが、2011年の目標は達成できましたでしょうか。
年頭に立てた目標や計画を想い出し、今年の活動の成果を振り返ってみてください。

先日、経理セミナーが終わった後に、経営者と経理課長が相談に来ました。
経理部の仕組みと体制を効率的に改革したいとのことでしたが、「経理事務をベテラン社員から派遣社員などに替えてしまっても大丈夫か?」が心配で踏み切れないようでした。

このように、事務担当者が交替することにより、日常業務に支障が出るのではないかと心配して思い切った改革ができずにいるケースがよくあります。

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「正社員に代えて非正規雇用者を増やすと『忠誠心がなく仕事の質が落ちる』と思っている人が多いが、実際に契約社員に代えてみてそれが誤解であったことに気づく。」(『人事部は見ている。』楠木新著 日経プレミアシリーズ http://amzn.to/u7clec

実際に、これまでにたくさんの会社の経理部門を見てきましたが、ベテランの経理担当者が辞めたり配置転換されて、仕事が滞ったり、大きなミスや問題が発生したことはありませんでした。

そこで今回の経理合理化情報は、事務担当者が辞めても困らない経理の仕組みについて考えていきます。

経理事務をベテランに依存するデメリットとリスク

長期間の実務経験がないとできない事務処理などというのは、本来存在しません。
逆に、その人しかできない事務処理など、あってはマズイのです。
事務処理とは、会社のルールに基づいて、事務的に行われるものだからです。
処理する人の都合や独自のやり方は、排除しなければなりません。

ベテラン経理社員に事務処理を担当させることのデメリット、つまり、スキルと人件費のムダづかいのほうが問題です。
ドラッカー先生によれば、補助的な仕事や事務処理的な仕事はアウトソーシングするか、派遣社員にまかせたほうが効率的であると言っていて、特に管理部門のスタッフが書類仕事に追われていることを次のように指摘しています。

「規制や書類に時間の四分の一を取られることは、時間という最も貴重で高価で希少な資源の浪費である。実際のところ、飽きもする。人を卑しめ、おとしめる。身につけるものは、ごまかしのテクニックぐらいのものである。」
『ネクスト・ソサエティ』P.F.ドラッカー著 上田惇生訳 ダイヤモンド社 http://amzn.to/uHzqB3

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長期間にわたり事務処理を担当することにより身につける、この「ごまかしのテクニック」が、経理事務においてはリスクになっていくのです。

『お金の不正防止マニュアル』(助川正文著 すばる舎 http://amzn.to/stxvYc )によると、「経理業務を一人の社員に任せきりにしない」というのが、不正防止の鉄則にあげられています。

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どこの組織でも、不正は「長期間ひとりで」担当している仕事で発生しています。
信頼されて「長期間ひとりで」担当しているうちに、初心を忘れ、出来心から「ごまかしのテクニック」をマスターしてしまうようです。

経理事務担当者を替えることによるミスを心配するのではなく、事務処理に社員がスキルと時間を浪費するデメリットと、「長期間ひとりで」担当することにより発生する不正のリスクを心配するべきなのです。

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なぜ経理は改革できないのか? 2011年9月28日

大型台風の後、めっきり涼しくなりましたが、体調は大丈夫でしょうか。
先日、広島、名古屋で「経理合理化セミナー」を行いましたが、いずれも満席でした。
どちらも自動車産業が盛んな都市であり、円高の影響も加わり合理化を検討している企業が多いようです。
セミナー受講者も真剣で、セミナー修了後も個別の質問が後を絶ちませんでした。
今後ますます、管理部門の効率改善のニーズは増えていくことでしょう。
セミナー講師をしていて最近驚くのは、外国人の受講者がいることです。
経理部門に、中国やインドの人が社員として働いていて、セミナーを受講して勉強しているのです。
彼(彼女)たちは、「日本の会社のやり方には慣れたけど、なぜもっと効率的にやらないのか」について疑問を感じています。

外国から日本企業の仕事を見ると、特にホワイトカラーの仕事には、非効率なところが目立つようです。
景気後退やグローバル化など、さまざまな要因から、管理部門の改革が迫られています。
業務改善は指摘されてからはじめるのではなく、経理自らが常に改善意識を持ち、日々の仕事を積極的に改革していかなければならない時代になってきているということです。
そこで今回の経理合理化情報は、経理改革の取り組みについて考えていきます。

業務改革派の経理と守旧派の経理

『経理合理化プロジェクトR』を発足したのが2002年です。
その前から、企業の『経理合理化』のお手伝いをしていますので、早いもので10年以上この仕事に携わっていることになります。
これまでたくさんの企業の経理部門と関わってきて、ハッキリと言えることがあります。
それは、業務改善を進めている改革派の経理部と、昔のままのやり方を継続している守旧派の経理部とでは、「経理のレベルに大きな差が生じている」ということです。
経理レベルの差がどのように出ているのかというと、次の4つの視点で検証してみるとわかります。

<経理のレベルチェック4つの視点>
①スピード:業務処理に要する時間や月次決算の報告時期
②コスト :経理部門の人件費
③品質  :事務処理のミス発生頻度
④スキル :経理社員の財務・会計の知識や計数管理能力


経理レベルの格差の変化を図にすると、下図「経理レベルの格差拡大」のようになります。
感覚として、この10年間で、3~4倍の格差が確実に生じています。

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業務改革を推進している経理部門においては、スピード面で経理事務の作業時間を改善前と比較すると、3分の1から4分の1以下に短縮している企業が多く、月次決算の報告時期も翌月下旬から上旬へシフトしています。
コスト面では、ベテラン経理社員が事務処理をすることがなくなり、経理事務に関する人件費コストは大幅に削減されています。昔は年収4~5百万円の社員のしていた仕事を、いまでは週に2,3日のパート社員や派遣社員がパソコンを使ってこなすようになっています。
品質面でも、ここ数年、業務システム間でデータ連動をする企業が増えており、経理社員が入力、転記、集計などをせずにコンピュータが自動処理するようになったため、手作業による入力ミス、転記ミス、計算ミスが解消されています。

つまり、事務処理的な仕事がコンピュータ化されるにしたがい、処理がスピードアップし、人件費が削減され、人為的な作業ミスが減ったため、生産性が大幅に向上しているのです。
そして、業務改革派の経理社員は、事務処理をコンピュータにやらせて、業績管理や財務分析、予算編成、資金計画など、1人で3~4人分の仕事をこなすようになっています。

それに対して、守旧派の経理は、会計ソフトを導入した状態から変わっておらず、現金による経費精算、手書き伝票を見ながらの仕訳入力作業などを同じ社員が時間をかけて処理しており、10年前から生産性の改善はあまり見られません。
一般的に見て、企業の経理部門がITの活用により、全体的に効率アップしているため、何も改善していない守旧派の経理のレベルは相対的に下がり続けているといえます。

「前に進まない人間は、後退するのみである」(ゲーテ)

経理が改革できない本当の理由

残念ながら、日本企業においては、守旧派の経理が多数派を占めているのが現状です。
ではなぜ、経理は改革しようとしないのでしょうか?

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いま経理管理職に期待される役割とは? 2011.08.30

 まだまだ残暑が厳しいですが、いかがお過ごしでしょうか。震災後の復興、エネルギー政策、財政悪化、景気対策など問題が山積みの中で、日本の首相がまた交代です。世の中が不安になるにつれ、世間はトップに立つ人に対して強いリーダーシップを求めるようになりますが、あまり期待はしないほうがいいようです。

「政府がどれだけ景気刺激策を講じようとも、景気回復への道は厳しく、日米での雇用創出はごくわずかにとどまるということにだれも気づかなかった。我々はリーダーシップにこれほど期待したことはなかったが、これほど失望させられたこともない」(ハーバード・ビジネス・レビュー2011年9月号『賢慮のリーダー』野中郁次郎・竹内弘高著 http://amzn.to/r8TV4R )

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そんな時代の中で、企業経営者は政府に期待することなく、本質を見極めながら厳しい未来を切りひらいていかなければなりません。「賢慮のリーダーは判断を下す前に、状況の背後にある物事を素早く察知し、将来の展望や結果に対するビジョンを生き生きと示し、そのビジョンを実現するのに必要な行動を決定する」(同著)

そこで今回の経理合理化情報は、経理部のリーダーである経理管理職の今後の役割について考えていきます。

経理管理職のバランス感覚

管理職の適性を評価するときに、「組織管理」、「関係管理」、「自己管理」の3つのバランス感覚を見ると言われます。
「組織管理」能力とは、チームで成果をあげる能力であり、大きくマネジメント能力とリーダーシップ能力に分けられます。次の「関係管理」能力は、社内の関係部署や社外の取引先との協力や調整能力です。3つ目の「自己管理」能力は、自らの知識やスキルを蓄積させてキャリアアップする能力であり、メンタルケアを含めた健康管理も重要な要素です。

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経理管理職セミナーで、経理の部長や課長にこの3つの能力を自己評価してもらうと、平均的な経理管理職のバランス感覚は、左のレーダーチャートのような結果になります。組織管理面においては、マネジメントはできているが、リーダーシップに自信がない人がほとんどです。関係管理面では、外部よりも社内との調整が苦手のようです。自己管理面では、専門分野の知識スキルはありますが、自分の人間性に魅力があると感じている人は少ないようです。
経理管理職の場合、仕事柄なのか、社内の関連部署や経理部内の部下との人間関係においてリーダーシップが発揮できていないことから、特に「リーダーシップ」「人間性」「社内関係」の自己評価が低いようです。

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経理業務の引き継ぎは動画マニュアルで 2011.07.27

 毎日暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。今年は原発問題の影響で、全国的に節電モードになっていることもあり、どこへ行っても例年より厳しい夏になっているようです。くれぐれも熱中症や夏バテにならぬよう、ご自愛ください。

今回の経理合理化情報は、経理業務の引き継ぎの仕方についてです。


なぜ経理には業務マニュアルがなかったのか?

これまで、経理部に業務マニュアルが配備されてある会社はほとんどありませんでした。基本的なルールを記載した経理規定や、作業のミスやモレを防止するためのチェックリストはありましたが、仕事の進め方や作業手順を書いたマニュアルは存在しませんでした。
経理社員に業務マニュアルを作っていない理由を聞いてみると、だいたい次の3つの答えが返ってきます。

(経理が業務マニュアルを作ってこなかった理由)

理由① 「マニュアルを作る必要性がなかった」
経理という職種は仕事の性質上、人事異動がほとんどなく、担当者が同じ仕事に従事する  期間が長いため、業務引き継ぎをする機会があまりなかった。特に中小企業の場合は、経理社員は退職するまで同じ仕事を担当することも珍しくなく、マニュアルの必要性を感じたことがなかった。

理由② 「業務マニュアルを見ながら仕事をする習慣がなかった」
日本の企業では、新しく仕事を担当するときに、自分でマニュアルを読んで業務内容を理解するという風習がない。「習うより慣れろ」という傾向が強く、仕事は「同僚のやり方を見ながら」、「先輩に教えてもらいながら」、実務を通して身につけていくものだと思っていた。

理由③ 「細かい作業をすべて業務マニュアルに書くことはできない」
仕事を詳細にすべて記述しようとすると、ノート1冊分くらいになってしまう。時間をかけてマニュアルを作成しても、他人がそのマニュアルを見ただけではすぐに仕事ができるようにはならない。

つまり、これまで経理部門においては、担当替えがなく、マニュアルを見ながら仕事をする文化もなく、細かい作業を言葉で記述することが難しかったため、業務マニュアルを作成してこなかった、ということです。今までの経理の仕事は、確かに担当者の技量や経験に依存することが多く、それを言葉で記述することが難しかったのは事実だったと思います。
ただしホンネの部分では、「仕事のやり方を書いてしまうと、自分が持っているスキルやノウハウを公開することになり、自分の経理社員としての価値がなくなってしまう(誰にでもできてしまうと自分の相対的な価値が下がる)」ことを避けていたのかもしれません。

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(参考)日本企業が今までマニュアルを必要としてこなかった理由については、欧米の文化と比較して『日本人と組織』(山本七平著 http://amzn.to/oKb24k )に詳しく説明されていますので、興味がある方は読んでみてください。


雇用の多様化でマニュアルが必要になる

それに対してアメリカではほとんどの仕事が、労働品質のバラツキをなくすためにマニュアル化されています。日本のように一緒に働く人同士が同じ文化と教育レベルを持ち、誰とでもコミュニケーションが簡単にとれて、他人のやっていることをすぐに理解できる環境ではないから、だと言われています。

しかし最近は、日本のビジネス環境や文化もアメリカ型に変わりつつあります。経済成長が停滞し、企業は経営の合理化を目的にリストラが一般化し、終身雇用制度が崩壊、非正規社員の割合が高まり、アウトソーシングが普及、という現状を見れば明らかです。

長期で同じ人が仕事を担当する場合、業務マニュアルの必要性はありませんでしたが、さまざまなレベルの人が短期間で交替しながら仕事をする場合には、業務マニュアルが必要になってきます。景気が後退し、どこの企業も人件費を抑制しているため、余分な人員を確保することができず、仕事を一緒にやりながら教えるということも難しくなってきています。
そして、事務処理のコンピュータ化が、経理社員の実務経験の差を一挙に解消してくれました。
それまで個人の知識や経験に左右されていた判断業務のほとんどがプログラミングされてソフトウェア化し、経理業務の中心はパソコンを使った入力作業や検索、集計処理になっていきました。仕事がパソコン中心になれば、必要なのは詳細な業務マニュアルよりも、パソコンの操作マニュアルになっていったのです。

ですから今、経理社員に業務マニュアルの作成を依頼すると、会計ソフトや給与計算ソフト、ネットバンキングなどの操作マニュアルが作られることになります。
もちろん、ソフトウェア自体に分厚い操作マニュアルがついてきますし、「ヘルプ」画面をクリックすれば、基本操作のマニュアルはいつでも参照可能ですので、経理社員が作成するのは会社独自の利用形態に関する部分に限定されます。
したがって、経理部で作成される業務マニュアルは、ネットバンキングから預金データをダウンロードして会計仕訳に自動変換する操作手順や、取引先の支払い基準と送金口座を登録する承認手順、取引の整合性や決済後の残高を確認するための検証方法、などが中心になります。

経理事務が手順化されてコンピュータ化されたことにより、経理社員の仕事がコンピュータ操作になり、操作マニュアルがあればそれほど実務経験がなくても仕事ができるようになりました。
それと同時に、事務職に占める派遣社員やパート社員などの短期雇用社員の割合が高くなったことも重なり、業務引き継ぎの頻度が増えていき、多くの会社で業務マニュアルや操作マニュアルが必要になってきたのです。

操作マニュアルは動画で作成

操作マニュアルといえば、ひと昔前まではソフトウェアを買えばついてくるマニュアル本でした。経理部が作る業務マニュアルも同様に、WordやPowerPointなどのソフトを使って、操作画面のスクリーンショットを貼り付けながら、作業手順や留意事項などを補足したものを印刷して綴じたものがほとんどでした。

それが今では、前回説明したように経理もマルチディスプレイになり、印刷物を読むのではなく操作マニュアルを画面に表示させながら利用するように変わりました。さらに最近では、操作マニュアルも動画に変わりつつあります。プリンタなどを購入したときに付属のCDやDVDを開くと、初期設定の仕方をわかりやすく解説したチュートリアル・ビデオがはじまるのを見たことがあると思います。チュートリアル (tutorial) とは、もとは個別指導などの意味ですが、今ではコンピュータのハードやソフトなどの基本的な操作方法を覚えるための教材用ビデオやソフトを表す意味として定着しています。

業務の引き継ぎはまさに個別指導ですから、このチュートリアル・ビデオがあれば便利です。接客マナーなどの対人サービスや、ものづくりなどの身体を使った仕事の場合は、ビデオ撮影しなければなりませんが、経理事務の場合はパソコン操作だけなのでとても簡単に作れます。

パソコン操作の録画編集をするソフトは、有料のものから無料のものまでいろいろと提供されていますので、「動画マニュアル作成ソフト」「チュートリアル作成ソフト」などでWeb検索してみてください。

作り方も簡単で、動画編集ソフトを起動させて録画モードにしておき、いつものように経理事務をパソコンでするだけです。
操作しながら大事な部分を自分の声で補足説明していけば、動画マニュアル(チュートリアル・ビデオ)ができてしまいます。
あとから大事なところに文字を挿入したり、ムダな部分をカットしたり、パソコンで編集することもできます。使い方のチュートリアル画像が用意されているので、素人でも一人で仕事をしながら簡単に作成できるのがいいところです。自分のしている作業を文章にまとめていくのは大変ですが、操作を録画するだけですから時間がかかりません。

新しく仕事を引き継ぐ人にとっても、文章を読むより動画を見るほうが、ラクに仕事がマスターできるようになるのは言うまでもありません。
「ゆとり教育世代は、教えてあげているのにメモもとらずに、同じことを何度も聞いてくるので困る」などと怒っているより、
「操作方法は、動画マニュアルを見て復習しておいて」という仕組みにしておいたほうが、教える側も教わる側もストレスがなくなります。

社内でこのような動画マニュアルをつくるときのコツは、手間暇かけすぎない、完璧なものを作ろうとしない、つまり「こりすぎない」ようにすることです。
とりあえず今やっている仕事を記録する程度で充分です。録画時間も長編のものは作らずに、作業単位に分けて数分程度のものがいいでしょう。実際に見るのは、作業をする直前や、作業中にやり方を忘れてしまったときが多いからです。

特に経理の仕事は、月に1日だけ、半年に1度、年末調整や決算の時だけ、という作業が多いので…


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経理のマルチディスプレイ化 2011.06.27

いよいよ地上波テレビのアナログ放送が終了し、デジタル放送へ完全移行します。デジタル放送になって感じるのは、高画質になったことと、天気予報や番組の詳細情報など情報量が増えたことです。

以前から、映像コンテンツの記録、編集、配信の技術はデジタル化されており、すでに家庭においても写真やビデオはデジタル機器やパソコンで管理されています。映像コンテンツのデジタル化により、放送(テレビ)と通信(インターネット)の境界線がなくなり、流通を含めた情報コンテンツの多様化が、これから新しい展開を見せてくれることでしょう。

そこで今回の経理合理化情報は、社会のデジタル化により、経理業務がどのように変わりつつあるのか、について見ていきます。

パソコンが1人1台になって紙の消費量が増加

オフィスのコンピュータ化が始まった頃は、パソコンが普及すればペーパーレスになると予想されていました。情報は電子メディアにデジタルデータで保存されるようになり、書類の閲覧は電子掲示板などを利用するようになると考えられていたからです。しかし、実際にはパソコンが普及すればするほど、オフィスでの紙の使用料は増加していきました。

1998年に当時の通産省(現:経済産業省)が、「情報関連機器と情報用紙」に関して、下図のような調査結果データを発表しています。

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このグラフを見ると、1995年から急激に電子計算機が普及しているのがわかります。Windows95が発売されてパソコンが低価格化し、LAN環境の普及とともに、企業のオフィスでは1人1台体制になっていったのが想い出されます。

そして、パソコンの普及に合わせるように、情報用紙の出荷量も増加しています。現在では、オフィスで社員1人が消費する紙の量は、1ヶ月に約1,000枚(約4kg)に達しているそうです(公益財団法人古紙再生促進センター「オフィスの紙リサイクル何でもQ&A」)。
パソコンとプリンタの性能がよくなり、誰でも簡単にキレイな資料を印刷できるようになったおかげで、企業の紙の使用量は増え続けていったのです。紙1枚が1円しないこともあり、カラー写真などを印刷するとき以外は、[印刷]ボタンをクリックするのをためらう人はほとんどいませんでした。

情報漏洩とエコが紙の使用量を抑制

紙の無駄遣いに近い消費量にストップをかけたのが、情報漏洩問題と環境問題です。
情報が簡単にプリントアウトできるようになり、企業のさまざまな情報が印刷されるようになりましたが、情報の取り扱いに関する管理は遅れていました。その結果、印刷された情報が社外へ漏れる事故が多発するようになり、日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)の「2008年 情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」によると、情報漏洩事故の55.9%が紙媒体によるものでした。
情報漏洩が社会問題化すると、資料の印刷を制限したり、紙文書の社外への持ち出しを禁止する企業が増えるとともに、紙情報の廃棄や取り扱い管理を徹底するように変わっていきました。
また、20世紀後半から環境問題の1つとしてCO2(二酸化炭素)の削減が大きなテーマとなったため、森林保護を目的に社内のペーパーレス化に取り組んでいることをアピールする企業も多くなっていきました。

このように21世紀になり、機密保護とエコの観点から、企業は紙の使用量を減らすようになっていったのです。社員としても、情報が漏れて責任を取らされるのはイヤですし、印刷後に毎回バインダーに綴じたり、シュレッダーにかける手間を考えたら、印刷するのが面倒になります。
人間は面倒くさいことは嫌いですし、資源を大切にしたいという気持ちはだれにでもありますから、紙を印刷するのを徐々にやめるようになっていきました。特に若い世代は、デジタルネイティブ(生まれた時からインターネットやパソコンのある生活環境の中で育ってきた世代)なので、画面を見ながら処理することに抵抗がなかったようです。

実際に、情報用紙の生産量と販売量は2007年をピークに減少に転じ、景気が後退したこともあり、2010年はピーク時から約2割も減っています(経済産業省「紙・パルプ統計」)。
ここまで長い年月がかかりましたが、こうしてやっとコンピュータ導入当初に見込まれていた「デジタル化によるペーパーレス」が実現しつつあるようです。オフィスから紙をなくす程度のことですが、働き方を変えるには、外的圧力や世代交代が必要だったのかもしれません。

経理のマルチディスプレイ化

企業の経理部においても、情報のデジタル化が進み、紙の印刷が減ると、仕事の仕方が変わってきます。証券会社のディーラー部門の職場ほどではありませんが、最近では一般企業の経理部門でもディスプレイを2台見ながら仕事をする光景を目にするようになりました。

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経理社員が紙ではなく画面を見ながら仕事をするようになったのは、機密保護やエコなどによる印刷制限の他に、次の2つの理由があるようです。

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『企業が失敗しないための経理の役割』2011/5/25

 東日本大震災と福島原発事故の後、書店に行くと、『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(戸部良一、寺本義也、鎌田伸一、杉之尾孝生、村井友秀、野中郁次郎著 中公文庫 http://amzn.to/jz81Uj )が平積みされていました(アマゾンでも上位にランキング)。

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1984年の出版ですので、以前に読んだ人も多いと思います。大東亜戦争における6つの作戦を分析し、日本軍の組織としての失敗の本質と、そこから得られる教訓がまとめられています。
ただし、震災の後に売れているからといって、「なぜ戦争を避けられなかったのか」、「誰のせいで戦争に負けたのか」という戦争責任の原因究明に関する内容ではありませんから、今回の震災を人災として原因分析するのにはあまり役に立ちませんので、あしからず。
私もこの機会に本棚から取り出して、後半の部分(失敗の本質、失敗の教訓)を読み直してみて、時代の変革期にどう対応していくべきかをあらためて考えさせられました。特に、次の一文に触れ、これからの戦略を変革していく必要性を痛感しました。
「日本軍の失敗の本質とは、組織としての日本軍が、環境の変化に合わせて自らの戦略や組織を主体的に変革することができなかったということにほかならない。」
そこで今回は、企業が失敗しないための経理の役割について、考えてみようと思います。

 

衰退の5段階

いつの時代も、事業の盛衰は世の常です。なぜ企業は成長を維持できず、衰退していくのでしょうか?
この問いを考えるときに、とても参考になるのが、『ビジョナリー・カンパニー3 衰退の五段階』(ジム・コリンズ著 山岡洋一訳 日経BP社 http://amzn.to/jRUWhH )です。

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この本には、かつて成功していた企業が、どのように衰退していったのかを調査・分析した結果がまとめられています。現在のようなサバイバルの時代においては、衰退企業の失敗事例を学び反面教師として活用することが、自らの生き残りの確率を高めてくれることでしょう。
著者は、成功企業が衰退していく状況を五段階に分類して次のように解説しています。

第1段階: 成功から生まれる傲慢衰退のきっかけは、経営者が高慢になることからはじまります。「成功したときには運と偶然が関与した場合が多いが、運が良かった可能性を認識せず、自分たちの長所と能力を過大評価する人は、傲慢に陥って」、判断を誤り、衰退の可能性を高めてしまうようです。

第2段階: 規律なき拡大路線経営者が傲慢になると、「規模を拡大し、成長率を高め、世間の評価を高める」ことを貪欲に追求するようになっていきます。組織の成長よりも速すぎるペースで「拡張しすぎ」て衰退の道を歩み始めます。また、「後継者の選任に失敗した場合、企業は没落の道を歩む」ことも少なくありません。

第3段階: リスクと問題の否認事業がうまくいかなくなってくると、経営者は「悪いデータを小さくみせ、良いデータを強調し、曖昧なデータを良く解釈する」ようになります。経営者が、「後退の原因として外部要因を指摘するようになり、自分で責任を引き受けようとはしない」状況になってきたら危険信号です。

第4段階: 一発逆転策の追求企業の衰退が明らかになってくると、経営者は「一発逆転狙いの救済策にすがろう」とします。一発逆転策は、当初は業績が良くなったように見えるかもしれませんが、長続きはしません。

第5段階: 屈服と凡庸な企業への転落か消滅「一発逆転狙いの方策に頼るほど、悪循環に陥って」いき、「後退を繰り返し、巨費を投じた再建策がいずれも失敗に終わったことから、財務力が衰え、士気が低下して」、最悪の場合、企業は転落か消滅していきます。

要するに、企業が経営に失敗し衰退する原因は、経営者が自社の成功要因や戦略、組織の能力、経営状態などを客観的に認識できなくなることにあります。特に、第3段階の「リスクと問題の否認」に見られるように、経営者が悪いデータを正しく受け入れられなくなったら危ない、ということです。
したがって経理としては、企業が失敗しないために、次のように経営者を支援していく必要があるのではないでしょうか。

① 経営者が傲慢にならないように、常に企業活動の成果を数値で計測して、利益貢献の要因を客観的に把握できるようにしておく
② 企業規模と成長スピードが自社の組織レベルに対して適正に推移しているかをデータで確認し、経営者に定期的に事業計画を検証してもらう
③ 悪いデータについても積極的に経営者に報告し、早期改善を促す
④ 経営者が無謀な一発逆転策を狙おうとしたら、失敗した場合の最悪の状況をシミュレーションして見せる

また著者は、経営者が「利益」だけを重視しすぎる危険性を次のように指摘しています。「組織が大きくなり、成功を収めるようになると、現金が重要だという意識は薄れていく。成功している企業の指導者は現金より利益を重視するようになる。だが、企業は利益の不足で倒れることはない。現金の不足で倒れるのである。」(p175)
経営者はビジネスの虚像である「利益」ばかりを見てしまう傾向がありますから、経理はビジネスの現実である「現金」を、経営者に見せていかなければならないのです。

 

経営者の錯覚

企業経営者であれば、毎日、会社の経営成績や財務状態を見ています。見ていても判断を誤ってしまい、失敗してしまうことがあるのです。ではなぜ、経営者は判断を誤ってしまうのでしょうか?
この疑問に答えてくれるのが、人間の脳の錯覚について、科学実験結果を通してわかりやすい事例で解説された、『錯覚の科学』(クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ著 木村博江訳 文藝春秋 http://amzn.to/mnGaNz )です。

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この本では、私たちの判断に影響を与える日常的な6つの錯覚(人間の認知能力の限界や思い込み)について説明しています。概要をまとめると、次のような感じです。

①注意の錯覚: 視界に入っていれば認識できていると思いがちであるが、注意を向けていないと気づかない(携帯電話で話ながら運転すると前を見ていても事故を起こす確率が高まるように、複数のことを同時にすると注意力が散漫になる)

②記憶の錯覚: 一度経験したことはちゃんと覚えていると思っている人が多いが、人間の記憶はとてもあいまい(99%の人が10桁の数字も覚えていられないし、自分に都合がいいように事実をゆがんで記憶している)

③自信の錯覚: 知識や能力の高さが自信につながると考えがちだが、自信は個人の性格によるものである。相手の自信のある態度ないし自信のない態度で相手の実力、知識、記憶の正確さを判断する危険がある(自信満々の医師より、「わかりません」と正直に言える医師のほうが名医であることが多い)

④知識の錯覚: 人は慣れ親しんでいることを実際以上に知っていると思っているが、肝心なことを正確には理解していない(自転車の絵を紙に描いてみようとしても描けないし、各部品の構造について説明することもできない)

原因の錯覚: 自分の身近な出来事を特別な関係があると思い込んでしまうことがよくあるが、因果関係のない偶然の事象について無理やり辻褄合わせをしていることが多い(成功した会社の特殊ケースだけをとりあげて、同じケースで失敗している多くの会社の事例を検証しようとしない)

⑥可能性の錯覚: 自分の可能性や能力が簡単に引き出されると思っている人が多いが、成果をあげるにはそれなりの学習と訓練が必要である(モーツァルトを聴くだけで頭がよくなると言われると信じてしまうが、努力しない限り能力が開発されることはない)

つまり、人間は誰しも、自分は実際よりも優秀であると思い込んでいて、自分に限って判断ミスはしないと過信しているために、失敗したり、だまされたりするということです。この人間の錯覚は、日常生活レベルであれば、大した問題ではありませんが、企業のトップである経営者の錯覚は企業を失敗に導く恐れがあるので注意が必要です。
経営者には優秀な人が多いのは確かですが、だからといって万能ではありません。全社員の行動を四六時中観察し、聖徳太子のように同時に何人もの相談に乗れるわけではありませんから、組織が大きくなれば注意が行き届かない範囲が増えていきます。どんなに優秀な経営者であっても能力には限界があり、毎日増え続ける新しい案件をすべて的確に判断することは困難です。
また、社員に関しても、実際には内容をよく理解せずに仕事をしている人や、間違った思い込みを持って働いている人が少なくないということを認識しておかなければなりません。社員教育に関しても、仕事のやり方さえ教えれば誰にでもすぐにできるようになると考えていると、痛い目にあいます。経営者も社員も、みんな自分の能力を錯覚しているために、企業は失敗してしまうのでしょう。

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『経理からの効果的なフィードバックの仕方』2011/4/28

 東日本大震災から1ヶ月以上経ちますが、あなたのビジネス環境にはどのような影響が出ているでしょうか?生産から物流まで日本経済への震災の影響は大きく、その後の自粛ムードや節電が消費意欲を引き下げています。これにより、今年度以降の事業計画の修正や、大幅な予算の見直しを行なっている企業が増えています。

企業の経理部門に聞いてみたところ、予算規模の下方修正や、設備投資の延期、さらなる経費削減対策の実施など、震災の影響により、経営方針を変更した会社が少なくありません。

今回の大震災は、どこの企業でも“想定外”のことでしたが、今後は震災後の新しいビジネス環境の変化をすべての企業が想定する必要がありそうです。

それでは、今回の経理合理化情報です。今回は、会社をよくしていくために、経理がどのような情報のフィードバックをしていくのが効果的なのかについて、考えていきます。

経営管理者が指示を出すための情報

経理からの情報のフィードバックの仕方を考えるにあたり、その情報の使われ方をまず知っておく必要があります。

経理からフィードバックされた会計情報をもとに、経営管理者(経営者や現場部門の責任者)は意思決定を行ない、現場部門へ改善の指示を出します。経営者や現場部門の責任者の指示の仕方がうまいと、社員たちが働きやすくなるのは言うまでもありません。では、うまい指示の仕方とはどういうものでしょうか?

情報の意味や伝え方について、わかりやすく解説してある『それは情報ではない。』(リチャード・S・ワーマン著, 金井哲夫訳 http://amzn.to/g2zLm1 )によると、もっとも優れた指示とは、次の7つの要素を含んでいるとのことです。

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「・明確に取るべき行動がわかる。
・会社全体の目標に合致する。
・投資に対する見返りが目に見える。
・理解しやすい構造になっている。
・そのメッセージに最適な表現手段を使っている。
・目的達成のための道筋に幅がある。
・具体的に視覚化できる。」

つまり、相手が全体と将来のことを具体的にイメージできるように、指示することがポイントだということです。相手が具体的にイメージできるように指示することは、簡単そうでなかなかできません。

指示する相手によって、内容の理解の度合いや、持っている情報量、イメージの仕方が千差万別だからです。経営者や現場部門の責任者が、会社全体の将来の理想像を具体的にイメージできていなければ、社員に的確な指示を出すことはできません。

そのために経理は、経営者や現場部門の責任者が指示を出す前の段階において、会社全体の経営成績や将来の財務状態を具体的にイメージできるような情報を提供しなければならないのです。経理は、経営者や現場部門の責任者が、社員に対して指示を出しやすくするための準備作業をしているのです。

P/LとB/S では情報は伝わらない

残念ながら、会計情報を伝える経理部門は、いままで「経営管理者が、会社全体の経営成績や将来の財務状態を具体的にイメージできる」ような情報提供の仕方をしてきませんでした。銀行や株主などへの報告資料である財務諸表を作ることに専念しすぎたために、社内への情報提供がおろそかになっていたのです。会計基準というあまりにも明確なルールが存在していたため、会計情報の報告様式はこれ以外に考えられなかったから、というのも大きな要因です。経理も、「社会人なら、決算書が読めるのはあたりまえ」という前提で、誰に対しても貸借対照表と損益計算書を使って説明し続けてしまったのです。

しかし、情報は受け手が理解してはじめて活用されます。情報は受け取る相手のレベルに合わせて、伝え方や、量、方法、手段を変えていかなければならないのです。経理は、相手の会計の理解度に合わせて、情報提供の仕方を変えていくべきなのです。私が、これまで会計情報の報告の仕方をいろいろと試行錯誤してきた結果を、報告者別に区分してみると、次の表のようになります。

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いままで経理は、表の一番下の銀行(投資家)への報告を前提にして会計情報の提供をしてきました。当然ですが、銀行(投資家)は会計理解度も高いので、会計の専門用語と数値を中心に、その他は文章で若干補足する程度で問題ありませんでした。これを社内の経営者や現場に対しても同様なスタイルでやってしまうと、会計情報を渡されても受け手が理解できないという好ましくない事態が発生してしまいます。そうではなく、情報を的確に伝えるために、上の表のように、やり方を変えていきます。

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『経理のナレッジ・マネジメント』2011/3/28

このたびの東日本大震災で被災された皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。
被災地の一日も早い復興を、心からお祈りしております。
また、福島原発事故及び停電等により、広い地域でビジネスや生活に影響を受けていることと存じます。
今回の震災により、多くの方が非常時におけるリスク管理やバックアップ体制について、強く考えさせられたことと思います。
特に、通信、電気、交通、物流などのインフラが止まることの影響の大きさは、不便を感じてはじめて気がつくほど、日頃想定していないことでした。
今後もまだ何が起こるかわからない状況が続くことが予想されています。
間接部門の経理部においては、直接的な社外への影響は少ないにしても、震災後の急激な円高や、みずほ銀行のシステムトラブルなど、予期せぬ事態も生じています。
交通機関の影響で社員が出勤できなくなり、業務が滞ってしまうケースも少なからず発生しているようです。
震災の影響を受けていない地域も含めて、緊急時の社内体制を再確認し、今後に備えておきましょう。
それでは、今回の経理合理化情報です。
今回は経理のナレッジ・マネジメント(知識管理:Knowledge Management)のあり方について、考えてみたいと思います。
緊急時に困らないためにも、この機会に新年度に向けて、社内の業務体制の見直しもしてみてください。

データを加工して情報に変換

経理にとってのナレッジ・マネジメントを考える前に、知識のもとになる情報と、その情報を構成するデータの発生から、まず見ていきます。
企業は各部門において、日常発生するさまざまな事象を、それぞれの目的にしたがい観察し、文字や数値、画像といった「データ」として記録しています。
「データ」は実際に成立した取引だけではなく、社員の出退勤の時刻、営業マンの行動記録、電話やメールの通信記録など、日常の企業活動の結果が「データ」として記録されています。
データの定義はさまざまですが、とりあえずここでは、「データとは、事象を観察して記録したもの」として扱います。
最近では、「データ」はコンピュータを使ってデジタル的に記録するのが一般的になっています。
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そして次の段階として、企業の各部門では、日々発生する多量の「データ」の中から、さまざまな目的に応じて、それぞれの評価基準にしたがって、必要な「データ」を選択し加工して、自分たちにとって意味のある(使える)「情報」に変換しています。
たとえば、営業部門であれば、販売「データ」から商品別の一ヶ月間の販売個数などを販売「情報」として集計して管理しています。
製造部門であれば、生産「データ」から各製品の一日あたりの生産個数や機械の稼働時間などを生産「情報」として取り扱っています。
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このように、「情報とは、たくさんのデータの中から必要なものを目的に応じて選択して使いやすい形に加工したもの」と言えます。
ただし、「データ」と「情報」を明確に線引きして区分することは難しく、「データ」だけでも「情報」となることもありますし、加工された「情報」もまた「データ」として取り扱われることがあります。
この「データ」と「情報」の関係をわかりやすくするために料理にたとえると、「素材(データ)を食べる人の好みに合わせて調理(選択・加工)したものが料理(情報)」ということになります。
経理においては、最終的に事業活動の結果である獲得利潤と資本(財産債務)の増減を報告するために、各取引を貨幣価値に換算して評価し、財産債務の増減を金額「データ」として記録しています。
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次のフェーズで、記録され蓄積された財産債務の増減結果である金額「データ」を、会計基準にしたがって借方貸方に仕訳し、勘定科目ごとに集計して、財務諸表の形式で会計「情報」としてアウトプットします。
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経理で作っている料理(情報)は、いつも決まった定番料理(財務諸表)ばかりです。

実践的知識と理論的知識

次に、「知識」とは何かということになりますが、「知識」は昔から「実践的知識」と「理論的知識」に区分して考えられてきました。
実践的知識とは「どのようにやるか:方法How」であり、理論的知識とは「何をするか:対象What」のことです。
経理の仕事でいうと、実践的知識は伝票の書き方や帳簿の付け方であり、理論的知識は会計基準です。
実際の仕事は、両方の知識がないとできないのは言うまでもありません。
いくら本を読んでも、体を動かして練習しない限りスキーや水泳ができるようにならないのと同じです。
では、私たちの仕事において、実践的知識や理論的知識はどの程度必要でしょうか?
昔は、仕事ができるようになるまで先輩の下で1年以上は修行しなければなりませんでしたが、現在では一般的な業務の引き継ぎ期間は通常、数日から長くても1ヶ月です。
これは、仕事に必要な知識がすぐに引き継げるような環境にあるから可能なわけです。
すでに、ある程度の実践的知識と理論的知識が共有されていることを表しています。
料理でいうと、料理の作り方(理論的知識)がベテランのコックの頭の中にしかないと、新人のコックが同じ味を出せるようになるには何年もかかりますが、詳細なレシピがあれば、同じ味を再現するのに時間はかかりません。
また、熟練の包丁さばき(実践的知識)などは簡単には真似できませんが、フードプロセッサーなどの道具があれば何年も修行しなくても料理が作れるようになります。
要するに、詳細なレシピと便利なツールがあれば、人が変わっても一定のレベルで同じ仕事を短期間で再現することが可能になるということです。
この実践的知識と理論的知識のレシピ化及びツール化は、技術の発展により、人ではなく機械でも再現することができるようになり、人間の仕事を機械に置き換えていきました。
このおかげで、現在の企業では、実践的知識と理論的知識を簡単に社内で共有することができるので、業務引継ぎが短期間で可能になったのです。
経理の仕事も、簿記の知識を持つ経験豊かな専任の経理社員が処理するのではなく、業務マニュアル(レシピ)を見て短期雇用の派遣社員がパソコンを使ってするようになり、今では多くの業務がプログラミングされコンピュータ(ツール)が自動処理するようになっています。
つまり、会計処理を中心とした経理事務は、すでに「知識」ではなくなったということです。
会計処理は、データを加工して会計情報をアウトプットするためのデータ処理工程の1つにすぎないのです。
結局、人間が仕事をするときに必要としてきた多くの実践的及び理論的「知識」は、コンピュータの中に組み込まれてしまったのです。
では、コンピュータ社会における「知識」とは何なのでしょう?

情報から知識への変換

企業が、たくさんの「データ」から「情報」を作り出していることを、先ほど確認しましたが、次は、「情報」から「知識」への変換する過程を見ていきます。
知識管理(ナレッジ・マネジメント)に関しては、少し前の本ですが、『ワーキング・ナレッジ「知」を活かす経営』(トーマス・H.ダベンポート、ローレンス・プルサック著,梅本勝博訳 2000年 生産性出版 http://amzn.to/gfFMII )がとても参考になります。
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この本で、「知識」は次のように説明されています。
「知識とは、反省されて身についた体験、さまざまな価値、ある状況に関する情報、専門的な洞察などが混ぜ合わさった流動的なものであり、新しい経験や情報を評価し、自分のものとするための枠組みを提供する。それは、人の心に発し、人の心に働きかける。組織において知識は、文書やファイルのなかに存在するだけでなく、組織の日常業務、プロセス、慣行、規範のなかに埋め込まれているのである」(p23)
そして、著者のダベンポートたちは情報を知識へ変換するには、次の操作が必要であると言っています。
「知識は情報に由来し、情報はデータに由来する。情報を知識に変換するためには、ほとんどの仕事を人間がやらなければならない。
・比較(Comparison):この状況に関する情報は、すでに知っている別の状況とどれくらい似ているか、をくらべる。
・結果(Consequences):この情報は、意志決定や実践行為にどういう結果をもたらすか、その意義を考える
・関係(Connections):この情報は他の情報とどのように関係しているか、それらを結びつける
・会話(Conversation):人々はこの情報に関してどう考えているか、を実際に話して確かめる
明らかに、これらの知識創造行為は、人間のなかであるいは人間と人間の間でおこなわれる。」(p25)
つまり「知識」は、さまざまな「情報」を、比較・結果・関係・会話などの体験や通して考え、まとめられ、蓄積されたもの、ということになります。
そして大切なことは、「知識」は、人間と人間との関係、人の行為に密接に関係しているということです。
ただ「情報」をたくさん知っていたり、正しい規則や難しい理論を知っている、というだけではそれは「知識」ではなく、「情報」のレベルのままの状態です。
「情報」は、仕事を通して、人間関係を経て、自分なりに考え、人の行為に影響を与えて、はじめて「知識」になるのです。… … …

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『経理に必要な3つの目』2011/2/27

だいぶ温かくなってきたこの時期、花粉症の私は朝起きたときのクシャミで春を感じます。あなたは、 春の訪れを何によって感じますか?
平成23年度の税制改正で、次の項目が改正案に盛り込まれています。
・納税者権利憲章の策定
・税務調査手続の明確化
・更正の請求期間の延長
・処分の理由附記の実施
納税者権利憲章とは、「課税・納税手続きにおける納税者の権利を制度的に保証する基本的な法律」(ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/納税者権利憲章 )で、ヨーロッパやアメリカなど人権意識が高い国で20~30年前から制定されています。
この改正により、税務調査の事前通知をはじめ、調査内容や納税者の権利の説明が書面で行われることになります。
税務調査の結果についても、税務署側が追徴課税を行なう場合は、その理由を文書で明らかにしなければならなくなります。
また、税金を払いすぎていた場合の「更正の請求」期間も、現行の1年から5年に延長され、税金を追徴される場合の期間とバランスがとられるようになります。
これまでの国税通則法の名称も、「国税に係る共通的な手続き並びに納税者の権利及び義務に関する法律」に変わり、「納税者の権利と利益の保護」が明記される予定です。
それでは、今月の本題「経理に必要な3つの目」について見ていきましょう。

鳥の目、虫の目、魚の目

昔から、経営者は視野を広く持ち、多方面から物事を見て判断しなければならない、と言われています。
わかりやすいたとえとして、「鳥の目、虫の目、魚の目」がよく使われます。
私も、講演会などで「経営者は鳥の目、虫の目、魚の目を持たなければならない」という話しを何度か聞いたことがあります。
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『美容院と1,000円カットでは、どちらが儲かるか?』(林總著 ダイヤモンド社 )の中で、安曇先生が2代目社長に経営者の情報のとらえ方を教えるシーンでも、この例えが使われています(この本の内容はタイトルとは異なり、ERPシステムと管理会計について書かれています)。
「鳥は空高く飛び、大づかみに地上を俯瞰する。虫は地面を這い回り詳細を観察する。魚は水の流れの先がどこへ行くかを読み、突然の変化や異常点を見過ごさない」
「鳥は森の中で迷うことはない。森全体を見渡せるからだ。君も同じだ。会社の規模がどれだけ大きくなろうとも。どれだけ複雑な活動をしていようとも、経営者は全体を大づかみにできなくてはならない」
「虫の目は、現場に密着して詳細を見る目だ」
「魚の目は、会社の現状をリアルタイムでつかみ、流れの先を読み、突然の変化や異常点を見過ごさない視点のことだ」
つまり、経営者たる者は、常に、会社全体を鳥瞰し、現場に行って事実を検証し、社会の変化に敏感であれ、ということです。
また、「鳥の目、虫の目、魚の目」を持たなければならないのは、経営者だけではなく、経理も同じです。
経理にとって「鳥の目」は、会計情報を見るときに重要です。
経理はどうしても、毎日1円単位で細かい取引を扱っているため、どうしても全体を俯瞰する視点を忘れてしまいがちです。
毎日、毎週、毎月、取引を集計した後、勘定合わせをするだけではなく、必ず会社全体の財務バランスや損益、キャッシュフローを一段上から見るようにしたいものです。
いつも経理は「虫の目」で細かい数字を見ていますが、もう一つ大事なのが、昆虫のような「複眼」です。
経理は、取引を複式簿記で二元的に分けて見る習慣がついていますから、これを活用します。
取引の表と裏や、費用と収益の対応、損益とキャッシュフローのズレ、財産と債務とのバランスなどを、常に両側からチェックすることを忘れないようにしてください。
経理に求められる「魚の目」は、お金の流れを見る目です。
会社は、お金の流れが止まったら終わりだからです。
会社に入ってくるお金の流れと、会社から出て行くお金の流れを常に予測しながら、資金繰りを調整していかなければなりません。
会社の予算や経営者の方針を頭に置きながら、また銀行の融資動向を探りながら、会社に円滑にお金が流れるように、資金を調達し配分していきます。
経理の人は忙しくなると、どうしても視野が狭くなってしまいますので、経営者や現場社員、銀行などと話しをする前に、「鳥の目、虫の目、魚の目」を意識してみてください。
では、経理の3つの視点について、もう少し具体的に見ていきましょう。

経営者の視点で会計情報をチェック

経営者と話しをするときに、大切なのが会社経営全体を俯瞰する「鳥の目」です。
経営者は、月次決算書を手にすると、まず売上高を見て、次に利益を確認します。
金額を確認したら、次に「率」をチェックして、経営者自身が想定していた状況とブレがないかを検証していきます。
その後、予算と実績を対比させながら、現状を把握するとともに、気になる点を押さえていきます。
バランスシートに関しては、経営者は特に、現預金、売掛金、在庫、借入金などの残高の変動を確認する程度です。
毎月の売上規模から判断して、どの程度の数字なら妥当であるか、ということが経営者の頭の中にあるからです。
経理も、経営者が決算書を見るときの目線を追いながら、この経営のバランス感覚を身につけるといいでしょう。
毎月、経営者と一緒に業績や財務内容を確認していくうちに、数字を見る順番や、注意すべき割合や「率」がわかるようになっていきます。
経営者は、販売や製造の個数、見込み客獲得数、来店客数など、会計以外の情報も頭に入れながら業績結果を見ていきます。
こういった非会計数値と、……………。

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